Blissful Touch ―ダンスをもっと美しく、もっとナチュラルに。

ダンサーのためのコンディショニング・サロン「ブリスフル・タッチ」公式ブログ。ヒトが0歳児の時に行う原始的運動メニューを分析し発展させた運動プログラム「ナチュラリゼーション」を中心に、ダンサーの皆様と地域の皆様の美しく健やかな身体づくりをサポートしています。

Sentiment

めまぐるしく過ぎたような1ヶ月ほどで

ブログの更新も少なめになりましたが

お仕事でもプライベートでも

何かアナログ的なご縁の広がりの中で

清々しさや

あたたかい想いを覚える機会の多い日々でした。

「忙しい」という言葉にはフィットしないような

しっかりとした手触りのある時間が

流れているような気がします。

そんな中、極めてマイペースにでしたが

振付もほぼ完成し

来月半ばからはパ・ド・ドゥのリハも始まります。

Sentimental Waltzに

作曲者がどのような想いを重ねていたのかはわからないけれど

「感傷的」と訳されるようなニュアンスとは

ちょっと違うものがあるように感じて

私の中では、そこに重なってくる

ひとつの詩の情景があります。

そこにある切なさの感触はむしろ

生きていることへの愛しさだと思うんですね。

同時に、岡潔の「情緒」sentimentもまた

折り重なっていくようで。

思いがけず、自分で創るという機会を得て

表したいと、唯一思ったのは

“大切にしたい(ありふれた)もの”の

いとおしい眺めで

それを、できるだけシンプルな動きの中で

丁寧に踊れたら

それが、今の自分に

もっとも相応しい踊りになるのではないかとも思いますし

むしろ、踊ること以上に

何かそうして「表したいことは何なのか」ということに

改めて向き合えたことが

私にとって、もっとも価値あることであるように感じています。

なくてはならないものの話をしよう。

なくてはならないものなんてない。

いつもずっと、そう思ってきた。

所有できるものはいつか失われる。

なくてはならないものは、けっして

所有することのできないものだけなのだと。

日々の悦びをつくるのは、所有ではない。

草。水。土。雨。日の光。猫。

石。蛙。ユリ。空の青さ。道の遠く。

何一つ、わたしのものはない。

空気の澄みきった日の、午後の静けさ。

川面の輝き。草の繁り。樹影。

夕方の雲。鳥の影。夕星の瞬き。

特別なものなんてない。大切にしたい

(ありふれた)ものがあるだけだ。

素晴らしいものは、誰のものでもないものだ。

真夜中を過ぎて、昨日の続きの本を読む。

「風と砂塵のほかは、何も残らない」

砂漠の歴史の書には、そう記されている。

「すべての人の子はただ死ぬためにのみ

この世に生まれる。

人はこちらの扉から入って

あちらの扉から出てゆく。

人の呼吸の数は運命によって数えられている」

この世に在ることは、切ないのだ。

そうであればこそ、戦争を求めるものは、

なによりも日々の穏やかさを恐れる。

平和とは(平凡きわまりない)一日のことだ。

本を閉じて目を瞑る。

おやすみなさい。すると、

暗闇が音のない音楽のようにやってくる。

「なくてはならないもの」 より 長田弘/みすず書房

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