Blissful Touch ―ダンスをもっと美しく、もっとナチュラルに。

ダンサーのためのコンディショニング・サロン「ブリスフル・タッチ」公式ブログ。ヒトが0歳児の時に行う原始的運動メニューを分析し発展させた運動プログラム「ナチュラリゼーション」を中心に、ダンサーの皆様と地域の皆様の美しく健やかな身体づくりをサポートしています。

削ぎ落とすための語彙

昨夜は新正体法の打ち合わせに向かう電車の中で

ゆっくりと読書を楽しみました。

面白いものでシートに座って読むより

立って、電車の揺れに身体を応じさせながら読んだ方が

アタマが冴えてくるというか

文章がスーッと浸透してきたり

それが自分の中でスムーズに整理されていく感じがします。

なつかしい時間 (岩波新書)

1995年から17年にわたって語られた言葉を集めた

その小さな新書の中には

まさに今の時代を見越していたかのような問いかけと提言が

美しくそぎ落とされた文章となって刻まれています。

本来 、そのまわりにさまざまなものを集めるのが 、言葉の本質です 。風景を集める 。感情を集める 。時間を集める 。ヴィジョンを集める 。人を集める 。記憶を集める 。そういう言葉を自分のなかにどれだけもっているかが 、胸のひろさ 、心のゆたかさをつくる 。こんなふうに 、語彙の行く末をたずねてゆくと 、そこに見えてくるのは 、わたしたちの日々の心の風景です 。いまは言葉が使い捨てになっていないか 、どうか 。言葉を使い捨てることは心を使い捨てることです 。いまは心が使い捨てになっていないか 、どうか 。

(語彙の行く末 長田弘『なつかしい時間』岩波新書

長田さんの言葉に触れて、いつも思うのは

豊かな語彙というのは

飾るためでなく、削ぎ落とすためにあるということです。

だからこそ、

あとがきに

「のぞめるなら 、バッハの平均律クラヴィ ーア曲集の四十八曲のように 、

いくども繰りかえされる主題を心に置きつつ読んでいただければ 。」

結ばれているように

その主題が読む者の心に響いてくる。

それはきっと

からだのことや

動きのことにも

通ずるものなのではないかと思います。

「眺め 」というのは 、ありふれたものを 、さりげなくそこにあるものを 、 「初めて見るもののように 」眺め入るということなのだ 、と作家は淡々と書きしるしています 。 「眺め 」というのは 、オ ープンな 、開かれた空間のなかに 、身をおく態度です 。

(眺めの大切さ 長田弘『なつかしい時間』岩波新書