Blissful Touch ―ダンスをもっと美しく、もっとナチュラルに。

ダンサーのためのコンディショニング・サロン「ブリスフル・タッチ」公式ブログ。ヒトが0歳児の時に行う原始的運動メニューを分析し発展させた運動プログラム「ナチュラリゼーション」を中心に、ダンサーの皆様と地域の皆様の美しく健やかな身体づくりをサポートしています。

月を見つけたチャウラ

週末のセッションに寄り添った花たちを

自宅で愛でる週始めの朝です。

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この3月に出あった本は

「月を見つけたチャウラ/ピランデッロ短篇集」 (光文社古典新訳文庫)

Luigi Pirandello: “Ciàula scopre la luna”

ルイジ・ピランデッロの作品は

以前、現代思想 特集=リハビリテーション

イタリアのリハビリテーション科医カルロ・ペルフェッティの

『素晴らしき水車 ルイジ・ピランデルロのテキストに対するリハビリテーション的変奏』に

触れたのをきっかけに関心を持ち

その後『ひとりは誰でもなく,また十万人』という作品を読んで以来です。

『ひとりは・・・』は一言で言えば

ヴィタンジェロという主人公の人格の解体を描いた長編でしたが

この文庫本に集められた短編もまた

「認識」がテーマに流れているようです。

ピランデッロ特有のウモリズモで

ユーモアと哀感、諦めと希望が入り混じり

決して「軽やか」な感触ではない作品もあるのですが(^^;)

でも、湿った閉塞感ではない

不思議な清涼感が余韻として残ります。

特に表題作の「月を見つけたチャウラ」のラストシーンは

不条理と労苦と恐れの果てに見出した眺めの清廉さが

それまでに描かれていた世界との鮮やかなコントラストをみせ

強く印象に残る「癒し」の瞬間の光景でした。

 夜中、こんなふうに地中の子宮口から這い出したいまになってはじめて、チャウラは「月」というものを見つけたのだ。

 恍惚状態のチャウラは、自分の出てきた穴の前においた荷に腰掛けた。ほら、あそこに、あそこに「月」があるぞ……。「月」だ!「月」だ!

 チャウラは、「月」を見つけたことに、言い知れぬ慰めと優しさを感じ、知らず知らず、泣くつもりもないのに涙を流していた。あそこで「月」が広大な光のベールをまといながら、空をのぼろうとしている。山や平地や谷を己が明るく照らしていることにも気づかずに。驚きに満ちた夜のなか、彼女のおかげで恐怖も疲労も感じなくなったチャウラがそこにいることも知らずに。

知らない世界へ向かって、歩を進める恐れ。

知的障害のあるチャウラが背負ってきた「荷」の重さは

闇しかないと思い込み、そしてそこに抱いた恐れを

象徴してもいるのだろうと思います。

知らないことへの恐れ

認識によって歪められていること

でも、そこに飛び込んでみたら

そこにはこんな眺めが広がるものかもしれません。

自分の眺めを狭めている恐れは何か。

そんなことを問われるような一冊です。

月を見つけたチャウラ: ピランデッロ短篇集 (光文社古典新訳文庫)

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