Blissful Touch ―ダンスをもっと美しく、もっとナチュラルに。

ダンサーのためのコンディショニング・サロン「ブリスフル・タッチ」公式ブログ。ヒトが0歳児の時に行う原始的運動メニューを分析し発展させた運動プログラム「ナチュラリゼーション」を中心に、ダンサーの皆様と地域の皆様の美しく健やかな身体づくりをサポートしています。

月の兎

休暇中、箱根に行っていた次女が買ってきてくれたお菓子に

良寛さんの長歌「月の兎」のお話について書かれた

小さなリーフレットが同封されていました。

 

今夜の満月にそのお話を添えたいと思います。

P5070423

ずっと昔のこと

お猿さん、兎さん、狐さんは友となり

毎日野山をかけまわって仲良く暮らしていました。

天帝がそのことを聞き本当かどうか確かめたいと、

老人に姿を変え、よろめくようにして現れ

「お前達は異なった種なのに仲良く暮らしていると聞いたが

それならば、私の飢えをどうにか救ってくれないか」と

杖を投げ出し座り込んでしまいました。

それは簡単なことと

お猿さんは後ろの林から木の実拾ってきて、

狐さんは前の川から魚を銜えてくるのですが

兎さんは飛びまわったものの何も持ってくることができません。

他のものと異なって思いやりが無いと

兎さんのことを罵ります。

そこで兎さんは心の中で考えて

お猿さんに柴(雑木)を採ってきてもらい

狐さんにその柴を焼いてもらい

その火の中に我が身を投じたのです。

老人はそれを見て

天を仰ぎながら心も萎れんばかりに打ち泣き、土に倒れ伏し

暫くして胸を叩くようにしながら言いました。

おまえたちみたりの友達は

誰が劣ると言うわけではないが、兎は特に心が優しいと。

天帝は元の姿に戻って兎の亡骸を抱き月の宮に葬りました。

今の世までも語り継がれ、月の兎と呼ばれるのは

こんないわれであったのかと

聞いた私までも黒染めの衣の袖が

涙で滲みて濡れてしまいました。

-----------------------------------

石の上 古りにし御世に 有りと云ふ 

猿と兎と狐とが 友を結びて 

朝には 野山に遊び 夕べには 林に帰り 

かくしつゝ 年の経ぬれは 久方の 天の帝の 聞きまして 

其れが実(まこと)を 知らむとて 

翁となりて そが許に よろぼひ行きて 申すらく 

汝等たぐひを 異にして 同じ心に 遊ぶてふ 信聞きしが 如あらば 

翁が飢を 救へとて 杖を投げて 息ひしに 

やすきことゝて やゝありて 

猿は後ろの 林より 菓(このみ)を拾ひて 来りたり 

狐は前の 河原より 魚を銜(くは)へて 来りたり 

兎はあたりに 飛び飛べど 何もものせで ありければ 

兎はは心 異なりと 詈りけれは はかなしや 

兎計りて 申すらく 

猿は柴を 刈りて来よ 狐はこれを 焼きて給べ 

言ふが如くに 為しければ 

炎の中に 身を投げて 知らぬ翁に 与へけり 

翁は是を 見るよりも 心もしぬに 久方の 天を仰ぎて 打ち泣きて 

土に僵(たふ)りて やゝありて 胸打ち叩き 申すらく 

汝等みたり(三人)の 友達は いづれ劣ると なけれども 

兎は殊に やさしとて 元の姿に 身をなして 

骸を抱へて 久方の 月の宮にそ 葬ける 

今の世までも 語り継ぎ 月の兎と 言ふことは 

これか由にて ありけると 

聞く吾さへも 白栲(しろたへ)の 衣の袂は 透りて濡れぬ

P5070426

それにしても、眠るのが惜しくなってしまうほど

美しい月夜です。

屋根に伸びた光さえ

月へと続く銀色の道のようで。

どうぞ素敵な夢を。