Blissful Touch ―ダンスをもっと美しく、もっとナチュラルに。

ダンサーのためのコンディショニング・サロン「ブリスフル・タッチ」公式ブログ。ヒトが0歳児の時に行う原始的運動メニューを分析し発展させた運動プログラム「ナチュラリゼーション」を中心に、ダンサーの皆様と地域の皆様の美しく健やかな身体づくりをサポートしています。

皮膚感覚

昨日、『POWERS OF TEN』という映像を見ました。Wikipediaで調べてみると1968年に制作された教育映画だそうです。宇宙へ、あるいは素粒子の世界への約9分ほどの旅に言葉にし難い感覚を覚えました。

そして、この基点となっているのは皮膚なのです。

タクティール・ケアをしていると、ケアしているその人の「存在の輪郭線」に触れている…そんな感覚になることがあります。受ける時は、同様に自分という存在の輪郭が鮮やかに湧き立ってくる気がします。

ある程度リラクゼーションが進むと触れられている部位の鮮やかな輪郭と対照的に、触れられていない部分は皮膚という境界線が消えて内も外も無く世界と一体化するような、不思議な心地よさを覚えることもあります。映像を見ていてどこかそれと共通する感覚を覚えたのです。

ちょっと科学寄りの話題から始まったので、皮膚感覚について少し書いてみたいと思います。

山口創氏の「皮膚感覚の不思議 (ブルーバックス)」という本の中に、”一般的には、手の平などで軽くさするのは「弱い刺激」だと思われているが、そうではない、むしろ、指圧のように圧をかけるほうが、弱い刺激なのである。”と書かれていますが、皮膚にある無数の感覚受容器に働きかけるのですから、ある意味では確かにそうなのかもしれません。同じタッチセラピーであるコンフォート・タッチは指圧にインスピレーションを受けたこともあってか、肌を滑るようなストロークは無く広範囲に包み込む緩やかな押圧といった手技が中心で、安心感が得られるのは同じですが、ことリラクゼーションに関しては、私個人的にはタクティールケアの撫でさするようなアプローチの方が効果が高いような印象を覚えていたので、とても腑に落ちる気がしました。

皮膚から脳へと情報を伝える通路は神経ですが、その神経線維は太さでA線維,B線維,C線維の3つに分類され、A線維は更に太さでα、β、γ、δに分類されます。

触覚の殆どは太い、求心性のAβ線維を伝わって脳へと伝わるのだそうですが、痛みや痒み、温度など一部の触覚は分化の進んでいない(ポリモーダル=複数の感覚様式ともいう)、進化的に古い線維であるC線維を伝っていくものもあり、その中でも特に伝達速度の遅い遅速C線維が原始感覚系として触刺激によって感情を喚起させる働きがあるのだというようなことが書かれていました。その遅速C線維というのは、肌をゆっくり撫でるような刺激に反応して愛情や嫌悪感といった感情を喚起させ、また人の場合は前腕部のC線維の40パーセントが遅速C線維であり、遅速C線維は掌のような無毛部には存在せず有毛部のみに存在するのだそうです。

ゆっくりとしたケアであること、手をやさしく撫でるような働きかけだけでも、時として大きなリラクゼーション効果や心を動かすような働きがあることを、科学の視点からも眺め、再確認したようなひと時でした。