Blissful Touch ―ダンスをもっと美しく、もっとナチュラルに。

ダンサーのためのコンディショニング・サロン「ブリスフル・タッチ」公式ブログ。ヒトが0歳児の時に行う原始的運動メニューを分析し発展させた運動プログラム「ナチュラリゼーション」を中心に、ダンサーの皆様と地域の皆様の美しく健やかな身体づくりをサポートしています。

Respectful

タクティールケアやタッチケアでまず一番最初に守らなければいけないこと

それは、毎回本人の了解の元で行うということです。

特にご家族が行う場合は、身内であるがゆえに疎かになってしまいがちかもしれません。認知症が進行してコミュニケーションが取り難いような場合でも、名前を呼びかけ、アイコンタクトを取りつつ、そっと肩や腕に触れながら、触れられることを肯定的に受け止めているか否かを表情や仕草などから読み取り、感じ取り、確認することが大事です。

その日の体調や気分によって、触れられることが嫌なこともありますし、否定的接触から良い結果は齎されません。

相手を尊重する―それがもっとも大事なケアの心なのかもしれません。

子育てのご経験のある方なら、お子さんを寝かしつけようとすればするほど、寝てくれない…そんな体験がおありではないでしょうか?ケアを行うのが「自分の都合」になってしまっては、そこにラポールは築かれず、癒しも齎されないものだと思います。

日々の介護で精神的にも肉体的にも疲弊している状態であるほど、それは容易ではないことかもしれませんが、最初からタクティールケアの手順どおりに進められなくとも、たとえ僅かな時間の接触でも、そこにその人を尊重し、慈しむ心が感じられるなら、「接触という体験」がその人にとって少しずつ違ったものに変化してくるのではないでしょうか。

私が毎週継続してケアをさせて戴いている高齢のご婦人も、最初はどこか戸惑いがち、遠慮がちにケアを受けていらっしゃいました。日頃、余りマッサージなどのご経験もなく慎み深い方が、他人に触れられるという体験に開かれていくには、それなりの時間がかかるものなのだと思います。

最初は、面と向かう必要も無く、触れらていながらも気持ちの上で距離感の保てる背中のケアを中心に進めていきました。足のケアも身体的距離は保てますし、足の冷えが感じられるその方には足のケアが効果的かとは思いましたが、その方の場合素足に触れられるということは気持ちの上ではまだ抵抗があるだろうと思えたからです。

同じケアでも、10代の若い方はその体験に開かれていくのがとても早く、ケアをし始めて短期間のうちでも、1分も経たないうちに寝息をたてられるようなことが多いです。人生を重ねる中で、接触という体験に様々な意味が齎されていくものなのだと思いますが、まだ、赤ちゃんや幼児の頃の接触の体験が強く残っているからでしょうか。

それでも、認定試験の時にインストラクターの先生にもお話したのですが、ケアを続けていくうちに殆どの方が「リラックス上手」「触れられ上手」になっていくように感じます。接触という体験の持つ意味が少しずつ書き換えられていくように。

触れることの大切さを説いた人類学者のアシュレイ・モンタギューはこんな言葉を残しています。

「私の人生すべてをかけてきた研究の結果、科学者として、愛と、ふれるということは、まったく同義であるといえます。同じことを違った方向から見ているだけです。」

タッチケアは、私たちを接触という体験の原点に帰らせてくれるもの―そんな風に感じています。